料理包丁の使用用途について

料理包丁の種類と工法

料理包丁は次の三種に大別されます。

  1. 野菜・果物用料理包丁・・・菜切包丁三徳包丁ペティナイフ等です。
  2. 魚用料理包丁・・・出刃包丁刺身包丁などの主に魚料理に使用する包丁です。
  3. 肉用料理包丁・・・牛刀・骨スキ等です。

私共では常時5種の炭素量、クローム量の含有割合の異なる鋼を用意し、上記3種の包丁の製作に使い分けています。(軟鉄は一種のみ)又、用途によって焼き入れ、焼き戻しの温度にも差があります。

※時折りお客様より「万能包丁をください」といわれますが、当店では食材に合った包丁を作っておりますので、万能包丁といわれる物はございません。(ただし、三徳包丁や牛刀、舟行包丁のように、いろいろな用途をマルチに併用できる包丁がございますので、お気軽にご相談ください。)

※武生特殊鋼材㈱様が近年開発された新鋼材は、現在私共も試作の段階ではありますが、そういうお客様の要望に少し近づけるのではないかと期待しています。
(ただし、単価的にはかなり高めになるかと思われます。)

包丁を三種に大別しましたが、更に両刃片刃に分かれます。

両刃包丁

軟鉄を縦に田金で割り、その中へ鋼を入れる割り込み工法によって作れられます。

焼入れの後、両側の軟鉄を研ぎ落とし真中に、刃を着ける包丁です。
ご家庭で使われる菜切包丁三徳包丁等がこの作り方です。

※現在は技術を要する為、利器材を元に作られるお店が多い様です。
利器材とは材料メーカーでハガネと異種材を熱間圧延や冷間圧延により接合したもので、鍛接を行わなくても刃物を仕上げることができ、熟練した職人の腕がなくても刃物を作れるので、大量生産などに多く使われています。

この作り方の場合、右利きの方も左利きの方も関係なく使われます。

ステンレス製の場合はV金鋼(不透鋼)等を両側からステンレスで包み込み真中に刃を出します。
DP工法と呼ばれますが、これによって和包丁特有の切れ味をステンレス包丁でも出すことが出来ます。

ステンレスの間に挟まれる不透鋼(刃の部分)のレベルによって価格も異なり、当初の切れ味の維持時間に差が出てきます。

手打ちの錆びる包丁に比べ、ステンレス製は価格もかなり割高になります。

同じステンレス製でも中の鋼部分のみ錆びる鋼を使用した物も数多くあります。

私共の制作しているみがきシリーズ(A3011本鍛造みがき三徳包丁及びA3012本鍛造みがき菜切包丁A3013本鍛造みがき牛刀)は、ステンレスの間には青紙鋼が入っていますので刃の部分は錆びますが、本鍛造してありますので、ステンレスだけに比べ、かなり切れ味はよいはずです。
(表面には錆にくいため、お手入れも鉄と鋼のみの包丁より簡単です。)

片刃包丁

刺身包丁(柳刃)出刃包丁薄刃包丁鱧切り包丁骨切り)など、プロの料理人(特に日本料理)が使う和包丁のほとんどが片刃包丁であります。
切った断面の美しさ、艶、包丁の冴えを大切にする日本料理(特に魚料理)では、材料の組織に壊さず切れる片刃の包丁が適しているといえます。
刃は軟鉄の平面に鋼を片着けします。

平沸し工法と呼ばれる工法にて作られています。
技術的にも難しく、時間も多く掛かりますので、割り込み工法に比べ割高になります。

(ただし、利器材を使用した場合はこの限りではありません。)

※ステンレスの場合も同様にステンレスにV金鋼(不透鋼)を片着けした物を用いて製造しますが、あまりお薦めはしていません。

片刃包丁の場合は右利き用、左利き用に分かれます。

※片刃の場合は通常右利き用が基本になっている為、左利き用は50%ほど割高となります。
よく左利きの方より材料が同じなのに価格に差が出るのかご指摘がございますが、左利き刃物を製作するのに倍近くの手間が掛かりますので、ご理解頂きたく思います。

又、左利きの方でさほど不自由を感じない方は、両刃の出刃等を使うこともよろしいかと思います。
(ご注文の際に両刃を指定していただければ、お時間はいただきますが、その場合は同価格にて製作させていただきます。)

全鋼包丁

両刃包丁、片刃包丁はどちらも軟鉄と鋼を併せる事によって製作されますが、肉切り用の牛刀は鋼だけで作られています。

特に牛肉は非常に脂が強い為、脂が巻きつくのを防ぐ、鋼のみで作られた様です。

現在はステンレス製(モリブデン鋼)が多く使われています。

武生でもステンレスと不透鋼を挟み込んだ牛刀が製作されていますが、両刃造りの為、切れ味は良いですが、業務用としては若干使い難い面がある様です。

ただ、全鋼及びモリブデン鋼の場合は使う人の好みによって両刃にも片刃にも使える利点があります。

本焼き包丁(高級包丁)

業務用料理包丁として和倉の料理人さんが使用する高級料理包丁です。

よく全鋼包丁と同じように考える方がいらっしゃる様ですが、技術的にも製作工程にも雲泥の差がございます。

全鋼牛刀が比較的炭素量の含有が低いのに対し、本焼きは炭素量が高い鋼を使用します。
又、全鋼は焼き入れは油冷ですが、本焼きは水冷を基本とします。

※技術的問題から油冷の本焼きも見受けられますが、切れ味は今一つです。
私共は現在お客様よりご注文があれば本焼きを製作しますが、通常は製作していません。
従って受注した場合、製作に約1年前後を要します。

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